こんばんは。Dr.チャッピーです。
このブログではご覧いただいた皆様に
外科の病気のことをみんなに知ってもらって人生を快適に過ごしてもらいたい
自分のマンガを様々な方に楽しんでもらいたい
というのが私の目標です。
今回はマンガ記載ではないのですが、自分の知識整理のために書き記したいなと思っています。ブログで公開することではないのかもしれないのですが、人に見せるという、自分への負荷をかけたい目的もあります。
※マンガを楽しみされていた方申し訳ありません(;’∀’)
今回は抗がん剤治療関連心筋障害に関係する薬剤についてまとめました。
外科で使用する心毒性のある薬剤をまとめたものを表にします。
外科で主に使用される薬剤だけのピックアップにあるので、すべてのまとめになっていないことはご了承ください。
※引用元:一般社団法人日本心エコー図学会
抗がん剤治療関連心筋障害の診療における心エコー図検査の手引
外科で使われる心毒性のある抗がん剤のまとめ
抗がん剤の種類 | 一般名 | 略号 | 商品名 | よく使われるレジメン 外科での癌の種類 |
アントラサイクリン系 | ドキソルビシン アドリアマイシン | DXR ADR | アドリアシン | AC療法 乳がん |
アントラサイクリン系 | エピルビシン | EPI | ファルモビシン | FEC EC療法 乳がん |
アルキル化薬 | シクロホスファミド | CPA | エンドキサン | AC FEC療法 乳がん |
分子標的薬 | ベバシズマブ | BEV | アバスチン | FOLFOX+BEV療法 胃がん 大腸がん 乳がん |
分子標的薬 | トラスツヅマブ | HER | ハーセプチン カドサイラ | PER+HER+DTX S-1+CDDP+HER 乳がん 胃がん |
免疫チェック阻害薬 | ニボルマブ | Nivo | オプジーボ | 胃癌 再発食道がん MSI-High直腸がん |
抗がん剤治療関連心筋障害の分類と特徴
type1 | type2 | |
代表的薬剤 | アントラサイクリン系 (ドキソルビシン) | トラスツズマブ ベバシズマブ |
心筋障害の機序 | 直接的な心筋細胞壊死 フリーラジカル生成 酸化ストレス/障害 | 心筋細胞の機能障害 |
臨床経過 | 不可逆的 | 可逆性の障害 2-4か月で開腹 |
抗がん剤投与量と 心筋障害の関係 | 蓄積性 用量との相関あり | 蓄積性や用量相関性なし |
リスク因子 | トラスツズマブ: アントラサイクリン系薬剤の最近の使用歴 |
抗がん剤治療関連心筋障害発症の危険因子
抗がん剤に伴う危険因子 | 患者背景の危険因子 |
・高用量アントラサイクリン系抗がん剤 (ドキソルビシン 250mg/m² 以上) (エピルビシン 600mg/m² 以上) ・HER2阻害薬(トラスツズマブ) | ・65歳以上の高齢者または15歳未満 ・冠動脈疾患の既往 ・慢性心不全・心筋症の既往 ・高血圧症、糖尿病、喫煙、肥満(2つ以上該当する症例) ・アントラサイクリン系抗がん剤の既往または同時併用 |
各薬剤について
<アントラサイクリン系>
・アントラサイクリンによる心毒性(EF10%低下かつEFが50%以下となると定義)の発症率は9%
・発症のタイミングの中央値は3.5か月
・早期発見でACE阻害薬/ARBやβ遮断薬などの心保護薬を使用することで、71%は心機能改善、11%は心機能が正常化した
<トラスツズマブ>
・心毒性は可逆的
・単独投与の心毒性はまれ
・アントラサイクリン、パクリタキセル、シクロホスファミドとの併用時に抗がん剤治療関連心筋障害を生じる場合が多い
心機能のモニタリングについて
・心毒性のバイオマーカーはトロポニンTとBNP
・トロポニンTによるモニタリングの意義は明らかでない
・BNP/NT-proBNPのモニタリングは心毒性の早期発見に有用ではない
・心エコー検査は非侵襲的であり繰り返し施行できるため最も簡便で有用な検査である
心エコーのフォローアップの目安
治療前 | 治療中 | 治療後 | |
アントラサイクリン系 アドリアシン エピルビシン | 必須 | 投与総量が 240mg/m2を超えた時点 500 mg/m2を超えた時点 ※おおよそ3カ月に1回 治療終了時 | 治療終了後6カ月、12か月 |
トラスツズマブ | 必須 | 3カ月毎 治療終了時 | 心機能低下がなければフォロー終了 |
ベバシズマブ | 必須 | 臨床上推奨された場合 | 心機能低下がなければフォロー終了 |
ニボルマブ | 必須 | 臨床上推奨された場合 | 心機能低下がなければフォロー終了 |
フォローアップのアルゴリズム
<アントラサイクリン系薬剤の場合>
<アントラサイクリン系薬剤以外の場合>
まとめ
<アントラサイクリン系>
- アントラサイクリン系は不可逆性の心毒性があるので、3カ月に1回の検査が必要
- 症状が出たときは3カ月以内でも心エコー検査を検討
- 有症状時は心保護薬投与(循環器内科医に相談)・化学療法レジメン変更を検討
- 治療終了後半年・1年で心エコーフォロー
<それ以外(ハーセプチン)>
- 可逆性の心毒性 投与中は3カ月に1回 治療終了後問題なければフォロー不要
- シクロホスファミド、ドセタキセル、パクリタキセル併用時は注意
今回は全く面白みのない回で申し訳ありません。
知識整理のための雑記がこれからたまにありますが、メインはマンガのつもりなのでよろしくお願いいたします。
最後までご覧いただきありがとうございした。
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