理学療法士(PT)さんに捧げたい!エッセイマンガ「術後リハビリ」

エッセイマンガ

こんにちは! Dr.チャッピーです。

このブログではご覧いただいた皆様に

外科の病気のことをみんなに知ってもらって人生を快適に過ごしてもらいたい

自分のマンガを様々な方に楽しんでもらいたい

というのが私の目標です。ブログを書き始めた理由に関してはこちらをご覧ください。

今回は術後の患者さんの発言で面白かった話をテーマに漫画を書かせていただきました!

リハビリあるあるとまでは言わないですが、理学療法士(PT)さんはもしかしたら同じような経験あるのかもしれませんね!

  • 外科の術後のリハビリはどんなことをするの?
  • 手術の翌日から歩かされた!!なんでだろう?
  • 医師が書くリハビリあるあるってどんなこと?

そんな方に向けた内容になってます。

それでは楽しんでください!

エッセイマンガ「術後リハビリ」

今回は術後のリハビリをテーマに描かせていただきました。

おそらくブログを読んでくださっている方は医療従事者の方が多いのではないかと思いますが、術後のリハビリはなぜ必要なのか、一体どんなことをするのかについて説明します。

傷が痛いのに手術の翌日から歩かされた!なんで!?

一般的に、手術で全身麻酔を行うと一時的に人工呼吸を付けた状態になります。その間、呼吸を人工呼吸に託す形となるので、呼吸筋の使用量が低下し、肺活量が低下します。

また手術の内容にもよりますが、ベッド上安静が続くと、寝ているだけで筋力低下につながり、離床(ベッドから起き上がること)の妨げとなってしまいます(特に高齢者)

術後リハビリを導入することで、肺炎など手術合併症のリスクを軽減でき、長期入院を避け、早期に家庭復帰・社会復帰を目指すことができます。そのため手術の翌日からリハビリを行うことが望まれます。(もちろん、すぐは傷が痛いので患者さんのできる範囲に合わせて行います。)

ERASプロトコル というヨーロッパで提唱された概念があります。

enhanced recovery after surgery (術後の早期回復)の略で術後回復力を強化するための周術期管理として本邦でも広く認知されてきています。

ERAS のコンセプトとは

科学的な根拠に基づきさまざまな周術期管理を集学的に実行することで、手術前後のストレスを軽減し

  • 回復力強化
  • 術後合併症減少
  • 入院期間短縮
  • 安全性向上
  • 医療費削減  

などを目指したプロトコルです。外科に関わることのみの内容とさせていただきますが、以前は胃や大腸の手術では術後しばらく腸管安静が必要で、食事の開始を遅らせたりしていました。ERASでは術後1日目からスープ食を再開したり、離床が確立すれば膀胱留置カテーテルを抜去するなど早期回復に向けた取り組みが行われます。以下に具体的にどんな事が行われるかをまとめました。

術後自己調整型の硬膜外麻酔の併用(鎮痛により離床を促す)

術後1日目からのベッド離床

離床確立後の膀胱留置カテーテル抜去

術後1日目からスープ食再開(早期の腸管利用による腸蠕動機能の回復)

ドレーンの留置なし・早期抜去

腸管蠕亢進薬の使用

引用:結腸 ERAS® プロトコルにおける早期固形食摂取の安全性についての検討(手稲渓仁会病院)

上記の検討では大腸がん術後の患者さんで術後2日目より固形食(低残渣食)を開始しても術後合併症に有意差はなかったとしています。ドレーンに関しては過去に説明していますので、そちらも参照してください。

ドレーンと縫合不全について説明

話が腸の話に逸れてしまいましたが、術後の早期離床が早期退院に大きく関わっており、理学療法士さんの役割が非常に重要になっています。

術後のリハビリはどんなことがあるの?

マンガでも描かせていただきましたが、術後のリハビリは多岐にわたります。

離床から家庭復帰・社会復帰に向けて患者さん個々に合わせたリハビリをPTさんは読み取ってサポートしてくれます。(私よりPTさんの方が絶対詳しい…)

人工呼吸器で長期管理中の患者さんがスムーズに離脱できるように呼吸器リハビリテーションも行っていただくのPTさんのお仕事です。

特に高齢者は術後にかなりADL(日常生活動作:歩行、食事、洗面、入浴など日常生活の基本となる生活の動作)が低下してしまうので

高齢者はPTの介入が必須です

私が勤めている急性期病院だと、入院が長くなるとリハビリ病院に転院していただくのですが、転院調整が進むまでの間にめちゃくちゃ元気になってるおじいちゃん・おばあちゃんを目にすることもしばしば(笑)PTさんの力ってすごいなと本当に思います。

また嚥下機能(食事の飲み込み機能)が落ちてしまった患者さんに対しては言語聴覚士(ST)さんに介入をお願いします。最初はムセて大丈夫かと思っていた患者さんが、ナースステーションで食事をパクパク食べている姿を見たときは本当に感激を覚えます。

長期入院して、転院した患者さんが外来で元気になった姿で現れて

「この病院でなにしたのか全然覚えてない…」

と言われることもありましたが、それでも一生懸命頑張ってくれたんだな~ととても嬉しくなりました。

まとめ

今回の学びは

  • 早期離床が早期退院につながる
  • 高齢者の術後はリハビリ介入は必須(忘れずにお願いしよう)
  • PTさんいつもありがとう!

でした!

興味を持った方はInstagram & Twitter フォローしていただけると嬉しいです。

コメントもお待ちしております。

今日はこれで終わりです。最後までご覧いただきありがとうございました!!

コメント

  1. misa より:

    病院には医師の他にコメディカルの方達もいて患者1人1人に最適な治療法を皆さんで考えてくれていると思うと患者側としては安心&ありがたいです。素人考えでは術後はしばらく安静のほうが良いのかな、なんて思っちゃいますが術後すぐにリハビリを始めることが身体の回復など患者にとっては良いことが多いんですね☘️
    毎回イラストがほんとに上手くて見やすくてご自身で描かれてるなんてすごいなぁと思いながら見てます😊

  2. misa より:

    先程のコメントに入れ忘れましたがインスタフォローさせていただきました😊

    • misa様
      いつもブログをご覧いただきありがとうございます。
      もちろん患者さんの年齢や状態にもよりますが、基本的にはすぐにリハビリを始めてもらうことが多いですね。例えば、術後1日目であればまずはベッドから起き上がることを目標にしたり、できる範囲で可能な限り取り組んでいただく形になります。
      イラストは日々いろんな方の作品を見て、いいなと思うものを真似してみてます。そういっていただけると本当に励みになります。引き続き楽しんでいただけるような投稿をしていきたいと思います!
      インスタフォローもありがとうございます!

タイトルとURLをコピーしました